eスポーツコラボビールはどこまで宣伝できるか|自主基準が引く線と、配信での置き方
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eスポーツコラボビールはどこまで宣伝できるか|自主基準が引く線と、配信での置き方

2026.09.08 9min read Written by TAP TO BREW 編集部

自主基準は媒体を問わずかかる

「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」は適用媒体にインターネットを明記しているので、配信・SNS・チーム公式サイトも、テレビCMと同じ基準の下にあります。 「うちはテレビに出さないから関係ない」は成り立ちません。

誰が定めた基準で、いつ変わったか

定めているのは飲酒に関する連絡協議会(日本酒造組合中央会、ビール酒造組合など酒類業9団体で構成)。昭和63年12月9日制定、直近の改正は令和8年7月1日です(自主基準 PDF)。遵守状況は酒類の広告審査委員会が審議しています。

改正されるので、企画を通す前に必ず原文を開いてください。 この記事も2026年9月5日時点の原文を読んで書いたものです。

法令ではない。ただし守らないと止まるのは同じ

自主基準は業界の自主ルールで、違反しても罰則はありません。止まるのは行政ではなく、取引先と媒体側です。 醸造所・流通・プラットフォームのいずれかが自主基準を運用に組み込んでいれば、そこで出稿や納品が通らなくなります。

一方、注意表示の一部は国税庁告示に基づく法令上の義務です。自主基準と告示は別物なので、後半で分けて扱います。

20歳未満が主たる視聴者の場に広告を出さない

自主基準は「20歳未満の者を対象としたテレビ番組、ラジオ番組、新聞、雑誌、インターネット、チラシには広告は行わない」と書いていて、判断の対象は表現ではなく媒体です。 つまり、何を言うかより先に、どこに出すかで可否が決まります。

物差しになる数字は「視聴者の70%以上が20歳以上」

自主基準に、視聴者構成の数値が1か所だけ出てきます。「テレビ及びラジオのスポンサーは、視聴者の70%以上が20歳以上の者であるという企画のもとに制作されたことが確認できた提供番組において、酒類の広告を行うよう配慮する」(自主基準 II-1(2)ハ(ホ))。

この70%はテレビ・ラジオのスポンサーに向けた規定で、配信に直接かかる条文ではありません。 ただし、基準の中に他の数値基準が無い以上、チャンネルや大会配信に出せるかを社内で説明するときの物差しは、事実上ここしかありません。プラットフォームの年齢層データを取り、企画書に添付する。 これが最初の作業です。

ゲーム内アイテムとグッズには、別の条項が独立してかかる

見落とされやすいのがこの1行です。「主として20歳未満の者が使用する衣類、玩具、ゲーム等に酒類の商品ロゴ、商標を使用しない」(同 II-1(3)ト)。

eスポーツのコラボは、ゲーム内スキン・アバター・チームアパレルへロゴを載せる形になりがちです。載せる先が「主として20歳未満の者が使用するもの」に当たれば、広告の出稿とは無関係に止まります。 対象タイトルのレーティングと実際のユーザー層を、企画の初期に確認してください。

抽選・プレゼント企画も条項がある

「20歳未満の者を対象としたキャンペーンは行わない」(同 II-1(3)リ)。応募フォームに年齢の確認を置かないまま「リポストで抽選」を回すと、対象者を絞れていないことになります。年齢の入力欄は、後述する告示の要求とも重なるので、最初から設計に入れておくのが早いです。

選手が飲む描写を使えるか

使えない場面がはっきりあります。自主基準は「使用しない表現」として「スポーツ時や入浴時の飲酒を推奨誘発する表現」を挙げ、その「時」を「スポーツは直前・最中・直後」と定義しています(同 II-2(2)ホ)。試合直後に選手が缶を開ける画は、この定義に正面から当たります。

eスポーツが「スポーツ」に当たるかは、基準に書かれていない

自主基準の本文に「eスポーツ」の語はありません。当たるとも当たらないとも書かれていないので、判断は各社に残ります。 ただし、外して設計する合理的な理由も基準の中には見当たりません。当たる前提で組んでおくのが、後から取引先に説明できる形です。

年齢の条項のほうが、先に効くことが多い

競技シーンは選手が若い。ここに2つの条項が重なります。

  • 「20歳未満の者を広告のモデルに使用しない」(同 II-1(3)ニ)— 媒体の限定がありません
  • 「テレビ広告において、25歳未満の者を広告のモデルに使用しない。また、25歳以上であっても、25歳未満に見えるような表現は行わない」(同 ホ)— こちらはテレビ広告に限定。エキストラ等は対象外

所属選手のうち誰を出せるかは、飲む描写の前に年齢で決まります。 テレビ展開まで想定するなら、25歳の線も企画段階で確認しておく必要があります。

安全側に倒すなら、飲む描写を使わない

選手を出す・飲む描写を使う・試合と結び付ける。この3つを同時に満たす画は、どの条項にも触れずに作るのが難しくなります。 選手は登場するが飲まない、缶は製品として置かれるだけ、という構成にすると、判断すべき論点が1つに減ります。

注意表示をどこに置くか

置き場所は3つあります。広告の面、購入の申込画面、そして納品の通知です。記事や投稿の末尾に1行、では足りません。

広告面 — 自主基準

適用媒体は新聞、雑誌、ポスター、テレビ、ラジオ、インターネット、消費者向けチラシ。インターネットについては「表示可能スペースを考慮し、明瞭に判読できる大きさで表示する」とされています(同 II-1(2)ロ(ホ))。ポイント数の指定はありませんが、「小さければよい」という規定でもありません。

文言は国税庁告示に準拠するものとされ、例として「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨、あるいは「お酒は二十歳になってから」が挙げられています。

購入導線 — こちらは法令上の義務

通信販売で売るなら、国税庁告示「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」が3か所を指定します(国税庁告示第9号 7項)。

  • 広告又はカタログ等(インターネット等によるものを含む) — 「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨
  • 申込みに関する画面 — 申込者の年齢記載欄を設けた上で、その近接する場所に同旨の表示
  • 納品書等(インターネット等による通知を含む) — 「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨

文字の大きさは、インターネットの場合は「酒類の価格表示に使用している文字」以上(同 8項)。価格より小さい注意表示は、それだけで基準を外します。 通販そのものに要る免許はOEMのビールを自社ECで売るときの免許にまとめています。

容器 — 6ポイント以上、缶なら酒マークも

容器等には「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨を、6ポイントの活字以上(容量360ml以下の容器は5.5ポイント以上)で見やすい所に明瞭に表示します(同告示 1〜2項)。ラベルに入れる表示事項の全体はオリジナルビールのラベル表示義務を参照してください。

グッズに振れば制約は緩むのか

緩みません。ビールはグッズ扱いにしても酒類のままで、むしろ条項が1本増えます。 「記念品だから」「販売ではなく配布だから」で外れる規定は、自主基準にも告示にもありません。

コラボ缶のアートワークには、誤認防止の条項が当たる

自主基準は容器についてこう定めています。「酒類の容器又は包装の表示に際しては、清涼飲料、果実飲料等の酒類以外の飲料と誤認されないよう、色彩、絵柄等に配意する」、そして「アルコール分10度未満の酒類の容器には、酒マークを表示する」(同 III-4)。対象容器はすべての缶容器と300ml以下の缶以外の容器です。

一般的なビールは10度未満なので、缶で作る以上、酒マークは入ります。 ゲームのキーアートを全面に敷いたデザインほど、この2つと衝突しやすくなります。デザインの初校の前に、酒マークの面積を版下に確保しておいてください。

ノンアルに振っても、広告の条項は同じ

自主基準はノンアルコール飲料も対象に含めていて、「20歳未満の者を広告のモデルに使用しない」「20歳未満の者を対象としたテレビ番組、ラジオ番組、新聞、雑誌、インターネット、チラシには広告は行わない」を同じ文言で置いています(同 IV-2)。ノンアル版を作れば媒体が広がる、という設計は成り立ちません。

置ける場所を実際に広げるのは、免許の側

告知の制約は基準で決まりますが、売れる場所を決めるのは酒類販売業免許です。 会場物販、EC、酒販店への卸で必要な免許が変わります。販路ごとの対応はオリジナルビールはどこで売れるのかに整理しています。

規制ではなく設計の問題として扱う

ここまでの条項は、どれも「誰に届くか」を問うています。届く相手を先に決めれば、使える表現は残ります。 逆に、表現を先に作って後から基準に当てると、作り直しになります。

決める順番は3つ

  1. 媒体を決める — 配信チャンネル・SNSアカウントごとに年齢層のデータを取る。ここが通らなければ、以降の作業は無駄になります
  2. 出演と描写を決める — 選手の年齢、飲む描写を使うか、試合と結び付けるか。3つ同時は避ける
  3. 表示を割り付ける — 広告面・申込画面・納品通知・容器の4か所。デザイン確定より前に置き場所を確保する

チーム側の企画としての組み立て方はスポーツチームのオリジナルビール製作に別途まとめています。

費用の目安・期間・最低ロット

この記事で扱った範囲について、追加費用が発生する項目はありません。 注意表示も酒マークも、版下と申込画面に領域を確保するだけの作業で、確定前にやれば費用ゼロ、確定後にやると刷り直しになります。 それが期間と費用に効く唯一の分岐です。

醸造そのものの費用・期間・最低ロットは、TAP TO BREW のサービスページに公開しているものが正です。記事ごとに違う数字を置かないため、ここには書きません。

誰に届く企画なのかを、先に決める

自主基準は表現を禁じているのではなく、届く相手を確認せずに出すことを禁じています。 視聴者構成のデータと、出演者の年齢と、表示の割り付け。この3つが揃っていれば、eスポーツのコラボビールは企画として通ります。

TAP TO BREW は、株式会社TSURATSURA が運営するクラフトビールのOEM・ブランド構築サービスです。TAP TO BREW では製造・販売を醸造所の花園クラフトが担い、花園クラフトが売主として販売する形をとるため、その範囲では申込画面と納品通知の表示も販売元の側で担保します(TSURATSURA サービス)。チーム名義のECで自分たちが売主になる場合は、その販売場について自分たちで免許を受けることになります。

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配信チャンネルの年齢層と、缶を売る場所。この2つが決まっていれば、通る形と通らない形は初回で切り分けられます。

出典

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TAP TO BREW Editorial
クラフトビールの最新トレンド、ブランド戦略、醸造の裏側をお届けするTAP TO BREWの編集チーム。株式会社TSURATSURA運営。

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