お酒をギフトで贈るのに、守らないといけないルールはあるのか
あります。注文する画面から、届いた箱に入る書類まで、表示すべきことが告示で決められています。 根拠は「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」(平成元年11月22日 国税庁告示第9号)です。容器、売場、自動販売機、通信販売の4つの場面ごとに表示を定めていて、ギフトの通販に効くのは第7項と第8項です(国税庁「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準を定める件」)。
表示するのは売主。贈る側が手続きをする場面は無い
告示第7項の主語は「酒類小売販売場において酒類の通信販売……を行う場合」です。表示の義務を負うのは酒類を売る店であって、贈る人ではありません。申請も届出もありません。ただし、店が置いた年齢の入力欄と配送方法の指定は、贈る側が正しく答えないと働きません。
「20歳未満の人に飲ませない」は法律の側にもある
二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(大正11年法律第20号)第1条第3項は、業として酒類を販売または供与する者が、20歳未満の者の飲用に供することを知って販売・供与することを禁じています。続く第4項は、営業者は「年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス」と定めています(e-Gov 法令検索)。
贈り先が20歳以上であることは、注文の前に贈る側が確かめておくところです。 店の年齢確認は購入者に向いたもので、贈り先まで見に行けるものではありません。
注文画面で年齢を入力させられるのはなぜか
告示第7項(2)が、申込みの画面に申込者の年齢記載欄を設け、その近接する場所に注意の文言を置くよう求めているからです。
条文は通信販売を3つに分けている
第7項が挙げているのは次の3か所です。表示する内容がそれぞれ違います。
- (1) 広告またはカタログ等(インターネット等によるものを含む) — 「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」または「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨
- (2) 購入申込者が記載する申込書等の書類(インターネット等により申込みを受ける場合は申込みに関する画面) — 申込者の年齢記載欄を設けた上で、その近接する場所に上と同じ趣旨の表示
- (3) 購入者に交付する納品書等の書類(インターネット等による通知を含む) — 「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨
年齢欄が「近接する場所」の表示とセットで求められているのは(2)だけです。生年月日の入力を求められたり、確認のチェックを外せなかったりするのは、この項に沿った作りです。
文字の大きさまで決まっている
第8項が、第7項の表示は明瞭に行い、使用する文字は10ポイントの活字以上の大きさで統一のとれた日本文字とする、と定めています。インターネット等による場合の基準は「酒類の価格表示に使用している文字」以上の大きさです。 価格より小さい注意書きは基準を満たしません。買う側から見れば、この一文が読めるかどうかが、店を見分ける材料になります。
箱に入っている注意書きは外してもらえるのか
外せません。 第7項(3)が納品書等の書類への表示を求めていて、インターネット等による通知も含むと明記されているからです。
金額を伏せることと、表示を外すことは別
告示が求めているのは注意の表示であって、価格の明細ではありません。ギフトで金額を見せたくないときに明細を省けるかどうかは店ごとの運用ですが、表示のほうは店の判断で落とせる類のものではありません。 箱に紙が入っていたり、贈り先にメールが届いたりするのはこのためです。
贈り先に一報を入れておく
納品書の表示は残るうえに、冷蔵で送るものは受け取りに人が要ります。サプライズにしたいときほど、届く日だけは先に伝えておくほうが確実です。 中身を明かさずに「◯日に冷蔵便が届きます」と言えば足ります。
誰が売主なのかで、かかるルールが変わる
店で買って直送するなら売主はその店、自分の手元にある酒を対価なしで贈るなら、そもそも販売ではありません。 酒類の販売業免許は、売る主体に販売場ごとにかかります(酒税法第9条第1項、e-Gov 法令検索)。
店から直送する場合
売主は店です。だから年齢欄も納品書の表示も店が出します。TAP TO BREW の場合、連携先の醸造所・花園クラフト(大阪府東大阪市)が製造し、販売元となります。告示第7項の表示を出す側がこちらだ、ということです。
自分で持っている酒を送る場合
対価を取らずに知人へ贈るのは販売ではないので、告示第7項の表示も、酒税法第9条第1項の販売業免許も、贈る個人にはかかりません。対価を取って反復して売るなら話が変わります。 その場合は売る人自身が、販売場ごとに販売業免許を受ける必要があります。無免許での販売業には、酒税法第56条第1項第1号で1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。
どちらの場合も、運送会社の条件はかかる
免許や表示の話とは別に、荷物として受け付けてもらえる大きさ・重さ・温度帯の条件があります。ここが次の話です。
冷蔵で送るのか、常温でいいのか
商品に要冷蔵の表示があるものは冷蔵で送ります。 贈る人の好みではなく、その商品の保存方法の表示に従うところです。無ろ過や生酵母入りのものは冷蔵指定が付いていることがあるので、商品ページを先に見ます。
ヤマト運輸 クール宅急便(2026年9月5日確認)
- 冷蔵タイプ 0〜10℃、冷凍タイプ -15℃以下
- 取り扱えるのは 120サイズ(120cmまたは15kg)まで
- 予冷が必要。 冷やしていない荷物は受け付けてもらえない
- 届け先が不在の場合、不在日を含め最大3日間、ヤマト運輸営業所の冷蔵冷凍庫で保管
- コンビニ・取扱店・宅配ロッカーからの発送は不可
出典はヤマト運輸「クール宅急便」。
チルドゆうパック(2026年9月5日確認)
- 3辺の合計 150cm以下、1辺100cm以下、重さ 25kg以下
- 予冷が必要
- 運賃はゆうパックの基本運賃に 225円〜2,100円(サイズによる)を加えたもの
- 取扱いのある郵便局の窓口から差し出す
出典は日本郵便「チルドゆうパック」。
常温でよいものは通常の宅配便で送れる
要冷蔵の表示が無いものは、通常の宅急便やゆうパックで送れます。瓶を複数本まとめるなら、緩衝材と箱の強度のほうが問題になります。見た目まで含めて考えるならビールギフトボックスの作り方が参考になります。
送る前に確かめる4つ
贈り先が20歳以上か、受け取れる日、冷蔵か常温か、海外ならその国の条件。この4つです。
1. 贈り先が20歳以上か
店の年齢確認は購入者に向いたものなので、ここは贈る側が確かめます。
2. 受け取れる日を決めておく
冷蔵便は保管が長くありません。ヤマト運輸の場合、不在日を含め最大3日間です(前掲)。長期の不在と重なりそうなら、日付を指定するか常温のものに切り替えます。
3. 冷蔵か常温か
商品ページの保存方法を見ます。スタイルによる違いを知りたければクラフトビールの種類一覧から入ると早いです。何を選ぶかで迷っているならギフトの選び方も合わせてどうぞ。
4. 海外なら、国ごとに条件が違う
日本郵便の国際郵便では、アルコール濃度24%を超えるものは全世界共通で送れません。24%以下のアルコール飲料も郵便物の条件が適用され、あて先の国によって送れないものがあります。国・地域別情報で先に確かめます(日本郵便「国際郵便として送れないもの」)。
制度と各社の条件は動きます。変わったときはTAP TO BREW journalのニュースレターでお知らせしています(記事一覧の下に登録欄があります)。
出典
- 国税庁「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準を定める件」(平成元年11月22日 国税庁告示第9号)(2026年9月5日確認)
- 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(大正11年法律第20号)(e-Gov 法令検索・同日確認)
- 酒税法(昭和28年法律第6号)第9条・第56条(e-Gov 法令検索・同日確認)
- ヤマト運輸「クール宅急便」(同)
- 日本郵便「チルドゆうパック」(同)
- 日本郵便「国際郵便として送れないもの」(同)