ビールのラベルに要るリサイクルマークは何か|缶は1つだけ、義務を負うのは醸造所とは限らない
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ビールのラベルに要るリサイクルマークは何か|缶は1つだけ、義務を負うのは醸造所とは限らない

2026.09.08 15min read Written by TAP TO BREW 編集部

ビールの容器で、法定のリサイクルマークが要るのはどこか

アルミ缶なら缶体にアルミマーク1つ。それ以外で法定の識別表示が要るのは、缶の胴全体を覆うシュリンクラベル(プラマーク)と、缶を束ねる紙スリーブやギフト用の紙箱(紙マーク)だけです。段ボール・ガラス瓶・瓶のラベル・王冠には、識別表示の義務がありません。

根拠は資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)です。同法は「指定表示製品」を政令で名指しし、その材質を分別回収のために表示させる仕組みになっています(e-Gov 資源有効利用促進法 第2条第13項)。名指しされていない素材には、そもそも法定の識別表示がありません。

条番号が2026年4月に動いている

識別表示の根拠条文は、長く「第24条第1項」と説明されてきました。現在は第51条第1項です。 令和7年法律第52号による改正が2026年4月1日に施行され、脱炭素化に関する章が第6章として差し込まれた結果、指定表示製品の章が第9章(第51条・第52条)へ後ろにずれました(前掲 e-Gov、目次および附則)。

省令の側も同じ日に追随しています。 缶の省令は本文で「法第五十一条第一項の主務省令で定める」と書き、附則に「この省令は、令和八年四月一日から施行する」を足しています(鋼製又はアルミニウム製の缶であって、飲料が充塡されたものの表示の標準となるべき事項を定める省令)。2026年より前に書かれた解説記事は条番号が古いままなので、条文を引くときは番号を確かめてください。

ビールの容器を部位ごとに並べる

部位 識別表示(資源有効利用促進法) 再商品化義務(容器包装リサイクル法)
アルミ缶の缶体 アルミマーク なし
スチール缶の缶体 スチールマーク なし
缶に貼るシール型のラベル なし なし
胴全体を覆うシュリンクラベル プラマーク あり(プラスチック製容器包装)
缶を束ねる紙スリーブ 紙マーク あり(紙製容器包装)
ギフト用の紙箱 紙マーク あり(紙製容器包装)
輸送用の段ボール なし なし
ガラス瓶 なし あり(ガラスびん・色別)
瓶に貼るラベル なし なし
王冠 なし なし

「ラベル」が一律に対象外なのではありません。 経済産業省の通知「容器包装に関する基本的な考え方」は、容器包装に該当しないものの例として「ラベル(飲料等に付されているシュリンクラベル(商品名等を表示している胴巻き)を除く)、ステッカー、シール」を挙げています(平成14年12月3日改正)。貼るタイプは外れ、胴を巻くタイプは入ります。 同じ通知は「ビールびんのラベル」を特定包装に該当しない例として名指ししています。

段ボールに紙マークは要らない

紙製・プラスチック製の識別表示を定める省令は、対象となる「特定容器包装」から主として段ボール製の容器包装を明文で除いています(資源の有効な利用の促進に関する法律施行令別表第五の六の項の上欄に規定する特定容器包装に関する省令 第2条第2号)。外箱に紙マークを刷る指示は、法令上の根拠がありません。

マークの大きさと置き場所は、省令が数字で決めているのか

決めています。印刷またはラベル貼付なら6mm以上、容器への刻印なら8mm以上です。缶は「胴に1箇所以上」、紙・プラは「表面に1箇所以上」と場所まで指定されています。

サイズは省令の様式の備考に書かれています。スチール缶の様式一は「R:円の外径 6mm以上」、アルミ缶の様式二は「a:辺の長さ 6mm以上」、いずれも文字は日本産業規格 Z8305 に規定する4ポイント活字以上です(前掲・缶の省令 別表・様式)。紙とプラは、印刷・ラベル貼付の様式が「6mm以上」、刻印の様式が「8mm以上」です(特定容器包装の表示の標準となるべき事項を定める省令 別表第二・様式一〜四)。

缶は胴に1箇所。小ロットには特例がある

缶の省令第2条は、遵守事項として「缶の胴に、一箇所以上、印刷し、又はラベルをはることにより、表示をすること」と書いています。そのうえで附則に、数量が少ないときの逃げ道を用意しています。

缶であって、飲料が充てんされたものの製造又は販売の数量が少ないため、缶の胴に表示をすることが困難な場合にあっては、当分の間、缶の胴以外の部分に表示をすることができる(前掲・缶の省令 附則第2項)

小ロットで缶の胴が既製のデザインで埋まっている場合に効く条文です。 ただし「当分の間」の例外なので、使うなら醸造所と充填工程を確認したうえで判断してください。

紙・プラは外側の箱にまとめて逃がせる

特定容器包装の省令には、缶には無い仕組みがあります。同時に廃棄されると認められる外側の容器包装(一体容器包装)の表面にマークを刷り、そこに「ラベル」「内袋」などの役割名を併記すれば、中の容器包装への表示を省略できます(前掲・特定容器包装の省令 別表第一 一の二号・三号)。

面積の小さいラベルにマークを載せられないときの正攻法がこれです。 条件は「同時に廃棄されると認められる」ことなので、通販の外箱のように別のタイミングで捨てられるものへ寄せられるかは、個別に確認が要ります。無地の容器包装や、素材上・構造上の理由で表示が不可能な容器包装は、そもそも対象から外れます(前掲・特定容器包装に関する省令 第1条第2項・第3項、第2条第5号)。

装飾はできる。壊してはいけない条件が1つだけある

どの省令も共通して2つの遵守事項を置いています。「表示を構成する文字及び記号は、容器包装全体の模様及び色彩と比較して鮮明であり、かつ、容易に識別できること」。そして「装飾を施すに当たっては、前号に反しないものとすること」。

マークの色を背景に合わせて落とすことは禁じられていません。 禁じられているのは、落とした結果として識別できなくなることです。ラベルの配色を詰める段階で、この1行を印刷会社と共有しておくと差し戻しが減ります。デザイン面の作り方はビールラベルのデザイン作成ガイドにまとめてあります。

ガラス瓶には識別表示が要らないのに、なぜ費用がかかるのか

識別表示と再商品化義務は別の法律だからです。ガラス瓶は資源有効利用促進法の指定表示製品に入っていないのでマークは不要ですが、容器包装リサイクル法の再商品化義務の対象には入っています。

再商品化義務の対象は6区分です。ガラス製容器の無色・茶色・その他の色、紙製容器包装(段ボールと飲料用紙容器を除く)、PETボトル、プラスチック製容器包装(容器包装リサイクル法施行規則 第4条)。アルミ缶・スチール缶・段ボールはここに入っていません。 有価で流通するため、事業者が費用を負担する仕組みの外に置かれています。

リターナブル瓶は、認定を取れば義務から外れる

自ら回収する容器は、主務大臣の認定を受けることで再商品化義務の対象から除かれます(容器包装リサイクル法 第11条第1項括弧書き・第18条第1項)。認定の基準になる回収率は「おおむね100分の90」です(前掲・施行規則 第20条)。

ワンウェイ瓶とリターナブル瓶の差は、ここで金額として出ます。 回収の仕組みを持たないまま瓶を選ぶと、義務は素直に残ります。缶と瓶の選択そのものは、この費用だけで決まる話ではありません。

王冠と瓶ラベルは、どちらの義務にも乗らない

王冠は容器包装リサイクル法上の特定容器の一部です(前掲・経産省通知「容器の栓、ふた、キャップ、その他これらに類するもの」の例に「ガラスびんの王冠」)。ただし素材が金属なので、再商品化義務の6区分には入りません。 瓶に貼るラベルは、同じ通知が特定包装に該当しない例として名指ししています。瓶のビールで実際に費用が乗るのは、瓶そのものと、外側の紙箱だけです。

OEMで義務を負うのは、醸造所かブランド側か

缶の識別表示は醸造所です。ラベルや紙箱の識別表示は、その製造を発注した側です。そして再商品化義務は、容器包装の素材・構造・自社商標を指示して詰めさせた側、つまりブランド側に来ます。3つが同じ相手とは限りません。

ここを取り違えると、義務を負っている側が申込をしていない状態が続きます。 順に条文で確認します。

缶の識別表示は「缶に酒類を充塡する事業者」

政令の別表第五は、指定表示製品ごとに義務を負う事業者を名指ししています。酒類が充塡された缶の欄はこうです。

三 缶であって、酒類が充塡されたもの/一 缶を製造する事業者/二 缶に酒類を充塡する事業者及び酒類が充塡された缶であって自ら輸入したものを販売する事業者(資源の有効な利用の促進に関する法律施行令 別表第五)

「製造を発注する事業者」は、この欄に書かれていません。 缶にアルミマークを刷る義務を負うのは、缶メーカーと、缶にビールを詰める事業者です。ブランド側が委託しただけでは、缶の識別表示義務は移ってきません。なお、酒類の缶を所管する審議会は国税審議会で、主務大臣は財務大臣です(前掲・施行令 第42条第1項第12号・第13号)。相談先が経済産業省だけではない、という意味でもあります。

紙・プラの識別表示は「製造を発注する事業者」

同じ別表第五でも、紙製・プラスチック製の特定容器包装の欄は書きぶりが変わります。

三 その事業(酒類業に限る。)の用に供するために特定容器包装の製造を発注する事業者及び特定容器包装に入れられ、又は特定容器包装で包まれた商品であって自ら輸入したものを販売する事業者(前掲・施行令 別表第五 六の項)

ラベルフィルムや紙箱の印刷を、誰の名前で発注したかで決まります。 ブランド側が印刷会社へ直接発注していればブランド側、醸造所がまとめて手配していれば醸造所です。発注書の宛名が、そのまま義務の所在になります。

再商品化義務は「実質的に容器包装を決めた者」

容器包装リサイクル法は、容器包装を「用いる」行為に、他者への委託を含めています(前掲・容リ法 第2条第9項第3号)。そして委託の範囲を定める規則が、こう書いています。

二 商品を調達し、かつ、容器包装に入れ、又は容器包装で包む行為の委託であって、当該容器包装の素材、構造、自己の商標の使用等に関する指示が行われているもの
三 商品を容器包装に入れ、又は容器包装で包み、かつ、販売する行為の委託であって、指示が行われているもの(前掲・施行規則 第5条)

指定法人である公益財団法人日本容器包装リサイクル協会も、同じ線で説明しています。「利用についての委託では、実質的に容器包装を決め、用いた者が義務を負います」。OEM商品については「容器の形状やデザイン、商標の表示をA社が指定し、(中略)製造を他社に委託する場合は、A社に『容器利用事業者』としての義務があります」とし、受託側には「容器利用事業者の再商品化義務はありません」と明記しています(委託・受託の関係がある場合の義務、2026年9月7日確認)。

分かれ目は「指示」があるかどうかです。 ラベルの意匠と自社商標を指定して作らせているオリジナルビールは、まず該当します。逆に、醸造所の既製品を仕入れて売るだけなら、義務は醸造所側に残ります。

判断を止めるべき場面

売主と発注者が別法人のとき、この整理だけでは答えが出ません。 条文は「その販売する商品について」容器包装を用いる事業者を特定容器利用事業者と定義しています(前掲・容リ法 第2条第11項)。販売元が第三者で、容器の指示は企画側が出している、という組み方では、どちらが「その販売する商品」の主体かを事実関係から決める必要があります。

ここは記事で断定できません。 日本容器包装リサイクル協会は義務判断チャートとコールセンターを用意しているので、契約の形が決まった段階で当てるのが確実です(特定事業者について)。

小規模事業者はどこまで外れるのか

従業員数と売上高の両方が線を下回ったときだけ外れます。片方だけでは外れません。

容器包装リサイクル法は、特定容器利用事業者の定義から「小規模企業者その他の政令で定める者であって、その事業年度における政令で定める売上高が政令で定める金額以下である者」を除いています(前掲・容リ法 第2条第11項第4号)。

数字は2本で1組

政令が定める線はこうです(容器包装リサイクル法施行令 第2条・第3条・第4条)。

従業員数 売上高
商業・サービス業以外 常時使用する従業員 20人以下 2億4,000万円以下
商業・サービス業 常時使用する従業員 5人以下 7,000万円以下

売上高は「すべての事業の売上高の総額」です(同 第3条)。ビール事業の売上ではありません。本業が別にある企業がノベルティでビールを作る場合、ここでほぼ確実に線を超えます。

識別表示の側は、外れ方が違う

資源有効利用促進法にも同じ数字の除外がありますが、外れるのは勧告の対象からです(前掲・資源有効利用促進法 第52条第1項括弧書き、前掲・施行令 第24条)。表示の標準そのものが消えるわけではありません。 小規模だからマークを省いてよい、とは読めない構造になっています。

外れなかったときに何が起きるか

いきなり罰則ではありません。勧告 → 公表 → 命令、の順に進み、命令に違反したところで罰金です。

  • 識別表示(資源有効利用促進法 第52条・第70条)— 命令違反で50万円以下の罰金
  • 再商品化義務(容リ法 第19条・第20条・第46条)— 命令違反で100万円以下の罰金
  • 帳簿の不記載・不保存(容リ法 第38条・第48条)— 20万円以下の罰金
  • 法人にも同額の罰金が科される両罰規定があります(容リ法 第49条)

帳簿は再商品化義務とは別建ての義務です。 特定事業者は容器包装の使用量と再商品化に関する事項を記載し、保存しなければなりません(前掲・容リ法 第38条)。

実務は3つ。委託申込・帳簿・費用の見積り

再商品化義務は、指定法人(日本容器包装リサイクル協会)に委託して委託料金を払えば履行したことになります。金額は「用いた重量 × 算定係数 × 実施委託単価」で出ます。

委託料金には再商品化実施委託料金と拠出委託料金の2種類があり、両方を払って義務履行とみなされます(委託料金の仕組み、2026年9月7日確認)。用いた量は、容器包装1個あたりの重さを実測し、直近の事業年度の販売個数を掛けて出します。

令和8年度の単価と、酒類の算定係数

令和8年度の再商品化実施委託単価は、2025年10月20日の臨時理事会で決定されました(お知らせ)。単価と、用途「酒類」の自主算定係数を並べると次のとおりです。

区分 実施委託単価(税抜) 酒類の自主算定係数
プラスチック製容器包装 71,000円/トン 0.64387
紙製容器包装 17,000円/トン 0.04318
ガラスびん(無色) 11,600円/トン 0.29346
ガラスびん(茶色) 14,100円/トン 0.36246
ガラスびん(その他の色) 21,000円/トン 0.98288

出典は令和8年度再商品化実施委託単価(案)について(臨時理事会資料)と再商品化義務量算定係数の算出根拠です(いずれも2026年9月7日確認)。

1kgあたりに直すと、金額の桁が見えます。 上の2つを掛けると、プラスチック製容器包装は約45.7円/kg、紙製容器包装は約0.73円/kg、茶色のガラスびんは約5.1円/kg(いずれも実施委託料のみ・税抜)。シュリンクラベル10kg分でも500円に届きません。

金額より、申込をしていないことのほうが問題になる

費用の小ささが、この制度でいちばん誤解を招く点です。 金額が小さいから対象外だろう、と読み替えて申込をしないと、義務を果たしていない状態が続きます。指定法人は「再商品化義務には時効がないため、申込期間を過ぎても随時申込は受け付けています」と案内しています(事業者の再商品化委託申込、2026年9月7日確認)。遡って申し込める代わりに、放置しても消えません。

費用の目安・期間・最低ロット

TAP TO BREW の場合の数字です(/pages/tap-to-brew に公開しているもの)。

最低ロット 48本(350ml)
初期制作費 50〜70万円(うち OEM醸造費 20〜25万円)
期間 初回相談からリリースまで概ね2〜3ヶ月

識別表示の確認は、この期間の中に入る工程です。 ラベルのデザインが上がってから容器の素材を確定させると、マークの置き場所だけレイアウトをやり直すことになります。デザインの外注費そのものはビールラベルデザインの依頼先と費用相場で扱っています。

なお、連携先の醸造所・花園クラフト(大阪府東大阪市)が製造し、販売元となります。 依頼側が免許を取らずにEC販売まで進められるのはこのためです(サービスページ)。

マークの要否は、缶か瓶かとラベルの形式が決まった時点で確定します。 容器の候補が2つ3つある段階で相談してもらえれば、表示と費用の両方をまとめて詰められます。OEM全体の流れはクラフトビールOEMの始め方完全ガイドにあります。

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TAP TO BREW Editorial
クラフトビールの最新トレンド、ブランド戦略、醸造の裏側をお届けするTAP TO BREWの編集チーム。株式会社TSURATSURA運営。

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