イベントで1日だけオリジナルビールを売りたい|期限付酒類小売業免許は誰が取るのか
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イベントで1日だけオリジナルビールを売りたい|期限付酒類小売業免許は誰が取るのか

2026.09.08 15min read Written by TAP TO BREW 編集部
目次

イベントで1日だけビールを売るのに、何の免許が要るのか

会場に臨時の販売場を設けて缶や瓶を売るなら、期限付酒類小売業免許です。ただし、これを受けられるのは原則として酒類製造免許か酒類販売業免許を既に持っている者だけです。

国税庁は「博覧会場等で臨時に販売場を設けて酒類の小売を行う場合には、期限を付した酒類小売業免許を申請し、取得していただく必要があります」と案内しています(国税庁期限付酒類小売業免許について、2026年9月6日確認)。

根拠は酒税法9条2項

酒税法第9条第1項は、酒類の販売業をしようとする者に、販売場ごとにその所在地の所轄税務署長の免許を求めています。そのうえで第2項が、「博覧会場、即売会場その他これらに類する場所で臨時に販売場を設けて酒類の販売業をしようとする者であると認められるときは、税務署長は、当該販売場に係る同項の販売業免許につき期限を付することができる」と定めています(e-Gov 酒税法、2026年9月6日確認)。

読み方が重要です。期限付酒類小売業免許は、別枠の簡易な免許ではありません。 9条1項の販売業免許に、税務署長が期限を付けたものです。土台は通常の販売業免許と同じところにあります。

免許を1つも持たない主催者は、これだけでは売れない

国税庁が挙げる届出の要件の2番目が、「届出をする者が、酒類製造者又は酒類販売業者であること」です(前掲ページ)。お酒に関するQ&Aも「申請者が酒類製造者又は酒類販売業者であり、次のすべての要件を満たすことが必要です」と、同じ前提から書き出しています(国税庁お酒に関するQ&A【販売業免許関係】Q9、2026年9月6日確認)。

「イベントのときだけだから、期限付の免許で始められる」は成り立ちません。 これは、常設の免許を持つ者が臨時の販売場を1か所増やすための制度です。免許を1つも持たない実行委員会・商店会・企業が、この免許だけを取って催事デビューする設計にはなっていません。

例外は1つだけで、条件が細かい

Q&Aが挙げる例外は、キャンプ場・スキー場・海水浴場等の季節的または臨時に人が集まる場所で、現に固定した店舗を設けて清涼飲料またはし好飲料の販売を業として行っている者です。この場合でも、販売場廃止後の酒類の引渡先(免許を持つ製造者または販売業者)と引渡期日をあらかじめ定め、引渡先が確実に引き取る旨の確約書を提出することが求められます(前掲Q9)。

つまり、売れ残りの行き先まで先に決めておく設計です。1回きりの物産展に当てはめられる例外ではありません。

申請は2週間前、届出は10日前。分かれ目は11の要件

原則は販売場を開設する日の2週間前までに申請します。一定の要件を満たす場合に限り、10日前までの届出で免許を受けたものとして扱われます(前掲期限付酒類小売業免許について)。

届出ルートに乗るための11項目

国税庁が判定表として並べているのは次の11項目です。全部を満たす必要があります。

  1. 原則として販売場を開設する日の10日前までに届出をするものであること
  2. 届出をする者が、酒類製造者又は酒類販売業者であること
  3. 博覧会場等(届出者又は届出者と密接な関係にある者が催物等の主催者として管理、運営していない場所に限る)で臨時に販売場を設け酒類の小売を行う場合であること
  4. 同一者による同一場所での届出は月1回であること(催物等の入場者の全部又は大多数が有料入場者である場合を除く)
  5. 催物等の入場者の全部若しくは大多数が有料入場者である又は開催期間が7日以内であること
  6. 催物等の内容が、酒類の小売を主目的とするものでないこと
  7. 催物等の開催期間又は開催期日があらかじめ定められており、かつ、それが客観的に明瞭であること
  8. 酒類の小売目的が、特売又は在庫処分等でないこと
  9. 博覧会場等の管理者との間の契約等により、販売場の設置場所が特定されていること
  10. 販売する酒類の範囲が、免許を受けている酒類の品目と同一であること
  11. 催物等の開催場所以外の場所へ酒類を配達しないこと

3番目が、自社イベントを弾く

自分が主催して自分で管理・運営している会場は、届出ルートの対象から外れています。 3番目の括弧書きが「届出者又は届出者と密接な関係にある者が催物等の主催者として管理、運営していない場所に限る」と書いているためです。

自社の周年イベント、自社が事務局を持つ祭り、自社ビルの前庭を使う催事は、ここで引っかかる可能性があります。その場合は届出ではなく、2週間前までの申請ルートで判断されます。 どちらになるかで逆算の日数が4日違うので、会場の管理者が誰かは企画の初期に確定させてください。

10番目も見落とされます。売れるのは、その事業者が免許を受けている品目だけです。品目がビールか発泡酒かはレシピで決まります(2026年10月の酒税改正)。

「10日以内」は連続した日でなくてよい

Q&Aは、届出による取扱いの条件を「催物等の開催期間のうち、酒類の販売を行う期間が10日以内(連続した日であることを要しない。)であるなど一定の要件を満たす場合」と書いています(前掲Q9)。会期が長い催事でも、酒類を売る日を絞れば条件に収まる場合があります。

添付する書類は、届出書のほかに販売場の敷地の状況・建物等の配置図・「酒類の販売管理の方法」に関する取組計画書・使用(営業)の許可書の写し(会場管理者との契約等、販売場の設置場所が特定できるもの)・催物のパンフレット等です(前掲ページ)。会場の契約書とパンフレットが要る以上、会場が決まる前には出せません。

誰が売主になるかで、必要なものが変わる

代金を受け取る者が売主で、その者に販売場ごとに免許がかかります。 主催者・出店者・醸造所のどれが売主かを先に決めないと、申請する主体も申請先の税務署も決まりません。

3つのパターン

  • 主催者が売主 — 実行委員会や運営会社が仕入れて自分の名前で売る形。主催者自身が酒類販売業免許を持っていなければ、期限付の免許も原則として受けられません
  • 出店者が売主 — 酒販店や醸造所がブースを持ち、自分の名前で売る形。免許を取るのはその出店者。主催者は場所を貸す側に回ります
  • 醸造所が売主 — 委託先の醸造所が酒類製造者として臨時販売場を設ける形。企画した側は売主にならず、免許の主体にもなりません

この記事でいちばん取り違えられているのが、2番目と3番目です。 会場の運営者や委託先の醸造所が免許を持っていることは、企画した側が自分の名前で売ってよい理由になりません。判定の主語は常に「誰が代金を受け取るか」です。販路ごとの切り分けはオリジナルビールはどこで売れるのかにまとめています。

免許を受けずに売った場合

酒税法第56条第1項第1号は、「第九条第一項の規定による販売業免許を受けないで酒類の販売業をした者」を一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処すると定めています(e-Gov 酒税法、2026年9月6日確認)。

1日だけの催事でも、この条文の適用に日数の下限はありません。「1日なので黙認される」という運用は、条文のどこにも書かれていません。

場所を貸す側にも判断が要る

出店者が売主になる形にするなら、主催者は出店の受付時に免許の写しと、申請・届出の予定日を確認する立場になります。会場管理者との契約書は届出の添付書類なので、主催者が出店者に交付しないと手続きが始まりません。主催者が免許を持たなくても、日程の律速になるのは主催者側です。

コップに注ぐのと、缶を売るのは、別の手続き

その場で注いで飲んでもらうだけなら販売業免許は要りません。未開封の缶や瓶を渡した瞬間に要ります。

線は酒税法9条1項のただし書きにある

酒税法第9条第1項のただし書きは、酒場、料理店その他酒類をもっぱら自己の営業場において飲用に供する業を免許の対象から外しています。Q&Aはこれを催事に当てはめ、「祭りの会場においてビール等コップに注ぐなどその場で酒類を提供するような場合は、販売業免許は必要ありません」と書いています。

そのうえで注記が付いています。「消費者に対して単に未開封の缶やびん詰めの酒類を販売する行為であって、その場以外で飲用に供することを予知して販売する場合は、酒税法上の販売業免許が必要となります」(前掲Q9)。

同じブースで、注げば不要・缶で渡せば必要という分かれ方をします。「飲み比べセットのおまけに缶を1本付ける」ような設計は、この線をまたぎます。

飲食提供は食品衛生法の側で許可が要る

販売業免許が不要でも、手続きがゼロになるわけではありません。飲食店営業は食品衛生法施行令第35条第1号に列挙された営業で、同法第55条第1項により都道府県知事の許可が必要です(e-Gov 食品衛生法・同施行令、2026年9月6日確認)。

露店や催事の臨時営業をどう扱うかは、施設基準を定める都道府県の条例側の話です(同法第54条)。会期・設備・給水の条件は自治体ごとに違うので、開催地を管轄する保健所に直接確認してください。本記事では、全国一律で言える条件を確認できませんでした。

缶をそのまま売るだけなら、食品衛生法の届出は原則不要

食品衛生法施行令第35条の2第3号は、容器包装に入れられた食品のうち、冷凍または冷蔵によらない方法で保存した場合に品質の劣化により食品衛生上の危害の発生のおそれがないものの販売を、「公衆衛生に与える影響が少ない営業」として届出の対象外にしています(前掲施行令)。常温で保存できる缶ビールを開けずに売るだけなら、ここに当たります。

注いで出すなら許可、缶のまま売るなら届出も原則不要。酒税法とは逆向きの線です。 両方やるなら、両方の手続きが要ります。

会場に置く表示と、終わったあとに出す書類

臨時の販売場でも、陳列場所の表示・酒類販売管理者の選任・終了後の報告書は通常の販売場と同じように求められます。

陳列場所の表示は100ポイント活字以上

「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」(平成元年11月22日国税庁告示第9号)は、酒類小売販売場について、酒類の陳列場所の見やすい箇所に「酒類の売場である」または「酒類の陳列場所である」旨と「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の表示を求めています(第4項)。

さらに第5項が、表示に使用する文字は100ポイントの活字以上の大きさの日本文字と定めています(国税庁 二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準を定める件、2026年9月6日確認)。手書きのPOPで済む話ではなく、A4用紙に近い大きさの掲示物を用意する前提です。

同じ第4項は、陳列場所が壁等で他の商品と明確に分離されていない場合に、陳列棚やケース等で明確に区分したうえで表示するなど、購入者が容易に酒類だと認識できる方法で表示するよう求めています。物販ブースの一角にビールを置く形なら、この一文が効きます。

酒類販売管理者を選任し、2週間以内に届け出る

国税庁は、臨時販売場における酒類の販売業務を開始するときまでに酒類販売管理者を選任し、選任後2週間以内に、期限付酒類小売業免許の申請・届出を行った税務署へ「酒類販売管理者選任届出書」を提出するよう案内しています(前掲期限付酒類小売業免許について)。

選任の根拠は酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第86条の9で、販売場ごとに、その販売場で酒類の販売業務に従事する者のうち研修を受けた者から選任することを求めています(e-Gov 酒類業組合法、2026年9月6日確認)。既存店の管理者を臨時販売場に充てられるかは、所轄税務署に確認してください。

終了後に2つの報告書を出す

臨時販売場の開設期間が終わったあと、申請・届出をした税務署へ「酒類の販売数量等報告書」と「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」の実施状況等報告書を提出します(前掲ページ)。イベントは終わった瞬間に解散しがちなので、この2つを誰が出すかを運営計画に最初から書いておいてください。

登録免許税はかからない

登録免許税法別表第一の六十五(三)は、酒税法第9条第1項の販売業免許を課税の対象としつつ、「同条第二項の規定により期限を付して行う免許を除く」と括弧書きで外しています(e-Gov 登録免許税法、2026年9月6日確認)。

一般酒類小売業免許なら1件3万円がかかる区分です。期限付にはこれが乗りません。 費用面のハードルは低く、ハードルは要件2(既に免許を持っているか)に集中しています。

申請が間に合わないとき、何ができるか

残り10日を切ったら、自分で免許を取る道はほぼ閉じます。売主を差し替えるか、売り方を変えるかの二択です。

1. 免許を持つ酒販店・醸造所に売主になってもらう

いちばん現実的です。地元の酒販店や委託先の醸造所に出店してもらい、その事業者が期限付酒類小売業免許を申請・届出して、自分の名前で売る形にします。企画した側は会場と集客を持ち、商品を渡す立場に回ります。

相手の免許通知書で、要件10(免許を受けている品目と同一の範囲か)を確認してください。企画側が酒販店へ商品を渡す行為そのものが卸売に当たる場合もあります(自己商標酒類卸売業免許の要件と手続き)。誰から誰へ所有権が移るのかを、契約の形で先に決めます。

2. 缶の販売をやめ、注いで提供する形にする

前述のとおり、その場で飲用に供するだけなら販売業免許は不要です(前掲Q9)。ただし食品衛生法側の営業許可は別途要るので、保健所への確認は残ります。 缶を持ち帰ってもらう体験は諦めることになりますが、当日に間に合わせる選択肢としては最短です。

3. 会場では案内だけにして、販売はEC側で完結させる

会場でQRコードや案内カードを配り、注文と決済をオンラインで完結させる形です。この場合、売主はECの免許を持つ事業者で、販売場は会場ではありません。

TAP TO BREW の場合、連携先の醸造所・花園クラフト(大阪府東大阪市)が製造し、販売元となります(/pages/tap-to-brew)。依頼した側が自分で免許を取らなくても、花園クラフトが売主になるオンライン販売なら販売の受け皿になります。免許の中身は通信販売酒類小売業免許と3,000kLの条件で分解しています。

ただし、会場で申込書を受け取って代金をその場で受け取ると、会場が販売場に当たる可能性があります。 ここは設計次第で判定が変わるので、所轄税務署に確認してください。届出の要件11「催物等の開催場所以外の場所へ酒類を配達しないこと」も、届出ルートを使う場合には効きます。

所轄税務署に確認する項目

申請の運用は税務署によって異なる可能性があります。次の項目は、この記事の一般論ではなく、臨時販売場の所在地を管轄する税務署の回答で決めてください(国税庁 酒税やお酒についての相談窓口)。

  • 今回の会場が「博覧会場等」に当たるか。自社が管理・運営する場所に該当しないか(要件3)
  • 届出ルートと申請ルートのどちらになるか。締切は10日前か、2週間前か
  • 免許に付される期限の実際の日付と、搬入・撤収を含む何日間が対象になるか
  • 既存店の酒類販売管理者を、臨時販売場の管理者に充てられるか
  • 会場で注文だけ受け、後日ECから発送する形が、会場を販売場とする扱いになるか
  • 提出書類のうち、会場側から取り寄せる必要があるもの(使用許可書の写し、パンフレット)の様式

費用の目安・期間・最低ロット

免許側とビール側で、かかるものが分かれます。TAP TO BREW の数字は/pages/tap-to-brewに公開しているものです。

  • 費用 — 期限付酒類小売業免許に登録免許税はかかりません(前掲 登録免許税法別表第一)。申請手数料も不要です。ビール側は初期制作費50〜70万円(うちOEM醸造費20〜25万円)
  • 期間 — 免許は開設日の2週間前までに申請、届出ルートなら10日前まで。ビールは初回相談からリリースまで概ね2〜3か月。律速はビール側です
  • 最低ロット — 350ml缶で48本から

催事の日程が決まっているなら、逆算の起点は免許ではなく醸造の仕込み枠です。免許の10日前・2週間前は、缶が仕上がっている前提の締切にすぎません。観光地の限定企画に組み込む場合の考え方は観光地の限定ビール企画にまとめています。

売主を誰にするかが決まれば、必要な手続きは順番に並びます。その1行が決まらないうちは、見積もスケジュールも引けません。

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催事の日付と、想定している本数だけ決まっていれば、売主の設計と逆算のスケジュールまで初回でお出しします。

出典

よくある質問

イベントで1日だけオリジナルビールを売るには、何の免許が要りますか?

会場に臨時の販売場を設けて缶や瓶を売るなら、期限付酒類小売業免許が必要です。酒税法第9条第2項により、税務署長が販売業免許に期限を付して与えるものです。原則として、申請できるのは酒類製造免許または酒類販売業免許を既に持っている者に限られます。

酒類の免許を1つも持っていない主催者でも、期限付酒類小売業免許は取れますか?

原則として取れません。国税庁の要件に「届出をする者が、酒類製造者又は酒類販売業者であること」が挙げられているためです。例外は、キャンプ場・スキー場・海水浴場等で現に固定した店舗を設けて清涼飲料等を販売している者が、販売場廃止後の酒類の引渡先と引渡期日を定め、引渡先の確約書を提出する場合に限られます。

期限付酒類小売業免許は、開催の何日前までに申請すればよいですか?

原則として販売場を開設する日の2週間前までに申請します。国税庁が示す11の要件をすべて満たす場合には、開設する日の10日前までに届け出ることで、期限付酒類小売業免許を受けたものとして取り扱われます。

イベント会場でコップに注いで提供するだけなら、免許は要りませんか?

酒税法第9条第1項ただし書きにより、その場で飲用に供する業には販売業免許は不要です。ただし未開封の缶やびん詰めを、その場以外で飲用に供されることを予知して販売する場合は販売業免許が必要になります。また、飲食提供には食品衛生法第55条第1項の営業許可が別途必要で、臨時営業の扱いは開催地の条例によります。

期限付酒類小売業免許に登録免許税はかかりますか?

かかりません。登録免許税法別表第一の六十五(三)が、酒税法第9条第2項の規定により期限を付して行う免許を課税の対象から除いています。

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TAP TO BREW Editorial
クラフトビールの最新トレンド、ブランド戦略、醸造の裏側をお届けするTAP TO BREWの編集チーム。株式会社TSURATSURA運営。

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